糖尿病内科
糖尿病は、インスリンという血糖を下げるホルモンが十分に働かないために、血液中の血糖の濃度が高くなる状態です。
症状が乏しくて気づかないこともあり、何年も血糖が高い状態が続くと、血管が傷つき、様々な合併症を引き起こします。3大合併症として視力障害や腎症、神経障害があり、その他、脳梗塞や心筋梗塞など、生活の質や命に関わる疾患につながります。
そのため早期発見と、しっかりとした血糖コントロールや合併症の評価が大切です。
糖尿病にも種類がある
大きく分けると、「1型糖尿病」、「2型糖尿病」、「妊娠糖尿病」、「その他」の4種類に分けられます。
1型糖尿病
インスリンがほとんど分泌されなくなることで、血糖が高くなります。治療は注射でインスリンを補充することが必須になります。
生活習慣が関わる2型糖尿病とは違い、原因は不明な点が多いですが、多くは自己免疫によって起こるとされています。
発症のピークは10歳〜15歳ですが、あらゆる年齢で発症します。
人口の0.09%の有病率と言われ、単純計算すると苫小牧市に約150人程度の1型糖尿病患者さんがいることになります。
2型糖尿病
インスリンの分泌が少なくなったり、インスリンが効きにくくなることにより、血糖が高くなります。
糖尿病全体の約95%が2型糖尿病です。
生活習慣病のイメージを持っている方も多いと思いますが、運動・食事などの環境要因だけが原因でなく、遺伝的な要因も絡みます。そのため、生活習慣に気をつけて生活していても、人によっては発症するリスクがあります。「糖尿病の人は生活習慣が乱れている」などという偏見に苦しめられている方が少しでも減ることを願います。
治療は内服薬や、場合によっては注射、またすべあの人が生活習慣に問題があるわけではありませんが、食事や運動療法も大切です。
発症年齢は中高年に多いです。
妊娠糖尿病
妊娠中に初めて発見された、糖尿病ほどではない軽度の血糖上昇のことです。
多くの人は出産後に血糖は正常化しますが、妊娠糖尿病となった方は、将来的に糖尿病の発症リスクが高いとされています。定期的な血液検査などでフォローすることが大切です。
それ以外
薬剤性や膵疾患、内分泌疾患などが原因のものです。
どんな症状が出るか
高血糖の程度が軽いと自覚症状はない方も多くいます。かなり血糖が高くなると以下のような症状が出たりします。
- 喉がかわく
- 水をたくさん飲む
- 尿の回数が増える
- 疲れやすくなる
- 体重が減る
また血糖がさらに著しく高くなると、嘔気・嘔吐や意識障害を起こし命に関わることもあります。
診断について
血液検査で血糖が高いと診断となるのですが、基本的には以下のフローチャートの流れで診断します。
血糖の目標について
HbA1cとは過去1〜2ヶ月の血糖を反映する項目です。血糖のコントロール状況を評価するために確認します。
血糖コントロールの目標は人によって異なり、年齢や薬剤による低血糖などの副作用リスク、罹患機関、臓器障害の有無などによります。
一般的以下の表を参考に、65歳未満、65歳以上で分けて目標を立てます。
65歳未満の方
65歳以上の方
血糖の測定について
血糖(医療機関にて採血)
その時点での血糖がわかります。
HbA1c (医療機関にて採血)
1〜2ヶ月の血糖の平均的な状態を反映します。
血糖自己測定 SMBG(Self Monitoring Blood Glucose)
簡易血糖測定器を用いて、ご自宅で自分で血糖値を測定します。
メリットは医療機器を受診した時だけでなく、日々の血糖の経過を知ることができ、インスリン投与量の調整や食事内容の改善に役立てることができます。
血糖を下げる注射薬を使用している方は保険適用されます。
持続血糖測定 CGM(Continuous Glucose Monitoring)
例えば、「FreeStyleリブレ2」という医療機器は、上の写真のセンサーを上腕に装着します。1つのセンサーで最大14日間使用でき、自動で1分ごとにグルコース濃度(糖濃度)を測定し、過去のグルコース値をグラフで確認することができます。その間、お風呂や水泳、運動も行うこともできます。
正確には、「血糖」は血管の中の糖濃度で、リブレ2は血管外の細胞細胞間質液中の糖濃度を測定しています。そのため、血糖の変動があると5〜10分程度遅れて数値に反映される点が注意です。
インスリンの注射を行なっている糖尿病患者が保険適応となります。